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薬効薬理

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作用機序

レミマゾラムは、GABAA 受容体のベンゾジアゼピン結合部位を介して、主要な抑制性神経伝達物質であるGABAのGABAA 受容体への結合を促進させることで鎮静作用を示すと考えられます。

レミマゾラムの作用機序(イメージ図)

非臨床試験

GABAA 受容体ベンゾジアゼピン結合部位に対する結合親和性(in vitro1)

ラット脳GABAA 受容体のベンゾジアゼピン結合部位に対して、レミマゾラムは高い結合親和性を示し、阻害定数(Ki)は26.3nmol/Lでした。一方、同部位に対する主代謝物(加水分解物)CNS7054の結合親和性は低く、レミマゾラムの約1/170でした。

ラット脳GABAA受容体ベンゾジアゼピン結合部位に対する結合親和性

n=2

選択性プロファイル(in vitro1)

各種受容体、トランスポーター及びイオンチャンネル(合計38種類)に対するレミマゾラム(10μmol/L)の親和性を評価しましたが、特異的な結合は認められませんでした。

 

鎮静作用(マウス)2,3)

レミマゾラム(15~30mg/kg)を雄Rj:NMRIマウスに静脈内急速投与した場合の鎮静作用について、正向反射消失(LRR)を指標として評価しました。その結果、投与量の増加とともにLRR 発現数は増加し、LRR 発現までの時間は短縮しました。LRR 持続時間は最高用量で、10分間未満でした。レミマゾラム30mg/kgの静脈内急速投与の15分前にベンゾジアゼピン拮抗薬であるフルマゼニル(20mg/kg)を腹腔内投与した場合、LRR持続時間が短縮し、LRR 発現数は減少しました。CNS7054は、検討した投与量(30~100mg/kg、急速静注)ではLRRを発現しませんでした。

レミマゾラム及び比較対照薬の鎮静作用(マウス)

Mean±SEM
ミダゾラム、プロポフォールは対照薬として用いた。

鎮静作用(ラット)4~6)

レミマゾラム(0.05~100mg/kg)を雄SDラットに投与した場合の鎮静作用について、LRR、運動失調(よろめき歩行又は腹臥位の状態)及び自発運動量を指標として評価しました。その結果、レミマゾラム投与後、用量依存的にLRR 発現数が増加しました。すべての動物でLRRが発現する最小用量(20mg/kg)において、LRR 発現までの時間は0.8分間、LRR持続時間は6.8分間でした。また、レミマゾラムで用量依存的に運動失調を発現し、0.5、20、100mg/kgで溶媒対照群と比較して有意な作用を示しました(p<0.05片側、Cochran-Armitage傾向検定)。さらに、レミマゾラム(0.05~10mg/kg、静脈内急速投与)では1mg/kg以上で用量依存的な自発運動量の低下が認められました。なお、マウスの試験結果と同様、ベンゾジアゼピン拮抗薬であるフルマゼニルはラットでのレミマゾラムの鎮静作用を回復させました。また、運動失調を指標として主代謝物CNS7054の鎮静作用を評価したところ、レミマゾラムの1/200でした。

全動物でLRR発現が認められた最小用量でのレミマゾラム及び比較対照薬の鎮静作用(ラット)

Mean±SEM、n=10
ミダゾラム、プロポフォールは対照薬として用いた。
a)投与群のすべての動物でLRRが発現した最小用量
b)運動失調からの回復を含む

レミマゾラム投与によるラットの自発運動量の変化

鎮静作用(ミニブタ)7,8)

レミマゾラムを雄NIBS系ミニブタに投与した場合の鎮静作用について評価しました。その結果、鎮静スコアリングシステム(最大スコア:5.3)において、レミマゾラムの静脈内急速投与(0.1、0.3、1.0 mg/kg)で用量依存的な鎮静作用(投与2分後の平均鎮静スコアはそれぞれ1.4、1.9、2.7)及び回復時間(それぞれ20、45、60分)が認められました。
また、レミマゾラムの静脈内持続投与により投与量に応じた一定の鎮静深度を維持できることが確認されました。
特に長期試験において、一定の鎮静深度を維持するため投与量の調整が必要でしたが、レミマゾラム28日間静脈内持続投与で、安定した鎮静作用を28日間維持しました。長期投与期間中、鎮静維持投与量は徐々に増加し、投与28日目でレミマゾラムの増加の程度は平均2.0倍となりました。鎮静作用の蓄積はなく、持続投与終了後に鎮静作用の延長は認められませんでした。

レミマゾラム及びミダゾラム(静脈内持続投与)の鎮静作用(ミニブタ)

ND:未測定
ミダゾラムは対照薬として用いた
a)鎮静深度として、筋緊張、探索行動、背景刺激に対する反応及び歩行/ 姿勢を評価した一般鎮静症状スコア(0~4)
b)スコア4を30分間維持することを必須とした
c)維持レベル1スコア低下まで/ 完全回復まで
d)スコア3に達するまで0.3mg/kg/分で投与
e)スコア3に達するまで5分ごとに0.03mg/kg/分で反復投与

鎮静作用(サル)9~15)

カニクイザルにおけるレミマゾラムの鎮静作用については、安全性薬理試験及び毒性試験の結果に基づき評価しました。
投与したすべての動物が鎮静状態(横臥位、腹臥位、座位、起立不能、部分的又は完全な閉眼、刺激に対する反応性消失及び傾眠など)を示す最小用量を鎮静用量と定義したとき、レミマゾラムを静脈内急速投与した3つの試験における鎮静用量はいずれも2mg/kg 以上でした。
静脈内持続投与試験では、投与時間、投与量範囲及び投与間隔が試験間で大きく異なるため、鎮静作用発現の投与速度及び投与量は投与中に観察される症状を指標に判断しました。評価した8試験では、鎮静症状を発現するレミマゾラムの持続投与速度は0.75~3mg/kg/時、総投与量は6~30mg/kgでした。

 

健忘への影響(ラット)[参考情報]16)

レミマゾラムの健忘作用をプロポフォールと比較するために、ラット受動回避反応試験で明室滞在時間を評価指標として評価しました(n=10/群)。レミマゾラム(0.2、0.5及び1mg/kg、急速静注)及びプロポフォール(1、2及び5mg/kg、急速静注)は用量依存的に明室滞在時間を短縮しました。試験系の妥当性を確認するために陽性対照薬であるミダゾラム(0.02、0.2及び2mg/kg、急速静注)の作用を検討した結果、用量依存的に明室滞在時間を短縮しました(n=5/群)。レミマゾラム及びプロポフォールの健忘作用のED50値は、それぞれ0.68及び2.5mg/kgでした。鎮静作用のED50値はそれぞれ4.4及び3.9mg/kgであることから、鎮静作用と健忘作用の用量比はそれぞれ5.7及び1.8倍でした。

 

 

薬力学的作用

 

意識消失を認めた被験者数と意識消失時間(健康成人男性)17)

20~45歳の日本人健康成人男性36例を対象とし、レミマゾラム0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mg/kg、あるいはプラセボを1分間かけて単回静脈内急速投与したときの、投与群ごとの意識消失(MOAA/S スコア1以下)を認めた被験者数及び意識消失持続時間(MOAA/S スコア1以下を示した持続時間)を検討しました。その結果、レミマゾラム0.05mg/kg 群では2例、0.1mg/kg 群では1例、0.2mg/kg 以上の投与群では全例で意識消失が認められましたが、プラセボ群では意識消失を認めた被験者はいませんでした。意識消失持続時間は、0.2mg/kg 群では2.8分間、0.3mg/kg 群では3.6分間、0.4mg/kg 群では6.2分間、0.5mg/kg 群では15.8分間であり、用量に応じた意識消失持続時間の延長が認められました。
一方、65~74歳の日本人健康高齢男性にレミマゾラム0.1mg/kg(n=5)又はプラセボ(n=1)を投与したときの投与群ごとの意識消失を認めた被験者数及び意識消失持続時間を検討したところ、レミマゾラム0.1mg/kg 群では全例が意識消失を認め、意識消失持続時間は3.8分間でした。プラセボ群では意識消失を認めた被験者はいませんでした。

意識消失を認めた被験者数と意識消失時間

平均値±SD、*:各投与群のプラセボを併合


 

対象:日本人健康成人男性(20~45歳)36例、日本人健康高齢男性(65~74歳)6例
方法:レミマゾラム0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mg/kg、あるいはプラセボを1分間かけて単回静脈内急速投与した。
MOAA/S(Modified Observer's Assessment of Alertness/Sedation)スコアの尺度は5(覚醒)から0(僧帽筋を強く押しても反応しない)で、スコア4~2は鎮静、スコア1~0は意識消失を示す。

鎮静を認めた被験者数と覚醒までの時間[参考情報]17)

20~45歳の日本人健康成人男性36例を対象とし、レミマゾラム0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mg/kg、あるいはプラセボを1分間かけて単回静脈内急速投与したときの、投与群ごとの鎮静(MOAA/S スコア4以下)を認めた被験者数及び覚醒までの時間(投与終了時点からMOAA/S スコアが4以下から5に回復した最終時点までの持続時間)を検討しました。その結果、レミマゾラム群では全例で鎮静が認められましたが、プラセボ群では1例でした。
覚醒までの時間は、0.05mg/kg 群では23.6分、0.1mg 群では24.8分、0.2mg/kg 群では29.4分、0.3mg/kg 群では32.0分、0.4mg/kg 群では40.0分、0.5mg/kg 群では54.0分であり、用量に応じた鎮静持続時間の延長が認められました。
一方、65~74歳の日本人の健康高齢男性にレミマゾラム0.1mg/kg(n=5)又はプラセボ(n=1)を投与したときの投与群ごとの鎮静を認めた被験者数及び覚醒までの時間を検討したところ、レミマゾラム0.1mg/kg 群では全例が鎮静を認め、覚醒までの時間は22.0分でした。プラセボ群では鎮静を認めた被験者はいませんでした。

鎮静を認めた被験者数と覚醒までの時間

平均値±SD、*:各投与群のプラセボを併合

 

対象:日本人健康成人男性(20~45歳)36例、日本人健康高齢男性(65~74歳)6例
方法:レミマゾラム0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5mg/kg、あるいはプラセボを1分間かけて単回静脈内急速投与した。

MOAA/SスコアとBIS値の相関性(健康成人男性)18)

レミマゾラムの薬力学的作用について、日本人健康成人男性10例を対象とし、投与速度1mg/kg/時にてレミマゾラム又はプラセボを単回静脈内持続投与し、MOAA/Sスコア及びBIS値を評価しました。MOAA/Sスコアはスコア5が覚醒、スコア4~2が鎮静、スコア1~0が意識消失を示します。
その結果、レミマゾラム1mg/kg/時群でMOAA/SスコアとBIS 値の間に相関性が示されました。(Spearman の順位相関係数:0.7577)。

MOAA/SスコアとBIS値の散布図

対象:日本人健康成人男性(20~45歳)10例
方法:投与速度1mg/kg/時にてレミマゾラム(n=8)又はプラセボ(n=2)を単回静脈内持続投与した。
MOAA/S(Modified Observer's Assessment of Alertness/Sedation)スコアの尺度は5(覚醒)から0(僧帽筋を強く押しても反応しない)で、スコア4~2は鎮静、スコア1~0は意識消失を示す。

意識消失(MOAA/Sスコア1以下)に対するBIS値のLogistic 回帰分析(健康成人男性)18)

日本人健康成人男性10例を対象に、レミマゾラム1mg/kg/時を投与したときの意識消失(MOAA/Sスコア1以下)に対するBIS 値のLogistic 回帰分析で、MOAA/Sスコア1以下となる確率が95%及び50%となるときのBIS 値は53.9及び65.5でした。

意識消失(MOAA/Sスコア1以下)に対するBIS値のLogistic回帰分析

logit (p)=16.7434-0.2558×BIS
pはMOAA/S スコアが1以下の確率を示す。

 

 

対象:日本人健康成人男性(20~45歳)10例
方法:投与速度1mg/kg/時にてレミマゾラム(n=8)又はプラセボ(n=2)を単回静脈内持続投与した。
MOAA/S(Modified Observer's Assessment of Alertness/Sedation)スコアの尺度は5(覚醒)から0(僧帽筋を強く押しても反応しない)で、スコア4~2は鎮静、スコア1~0は意識消失を示す。
 


6. 用法及び用量 
<全身麻酔の導入及び維持> 
<導入> 
通常、成人には、レミマゾラムとして12mg/kg/時の速度で、患者の全身状態を観察しながら、意識消失が得られるまで静脈内へ持続注入する。なお、患者の年齢、状態に応じて投与速度を適宜減速すること。 

<維持> 
通常、成人には、レミマゾラムとして1mg/kg/時の速度で静脈内への持続注入を開始し、適切な麻酔深度が維持できるよう患者の全身状態を観察しながら、投与速度を適宜調節するが、上限は2mg/kg/時とする。なお、患者の年齢、状態に応じて投与開始速度を適宜減速すること。 
覚醒徴候が認められた場合は、最大0.2mg/kgを静脈内投与してもよい。

<消化器内視鏡診療時の鎮静> 
通常、成人には、レミマゾラムとして3mgを、15秒以上かけて静脈内投与する。効果が不十分な場合は、少なくとも2分以上の間隔を空けて、1mgずつ15秒以上かけて静脈内投与する。なお、患者の年齢、体重等を考慮し、適切な鎮静深度が得られるよう、投与量を適宜減量する。

1)社内資料:結合親和性の検討(in vitro
2)社内資料:マウスにおける鎮静作用(拮抗剤投与)
3)社内資料:マウスにおける鎮静作用(代謝物の鎮静作用)
4)社内資料:ラットにおける鎮静作用
5) 社内資料:ラットにおける鎮静作用(拮抗剤投与)
6)社内資料:ラットにおける鎮静作用(代謝物の鎮静作用)
7)社内資料:ミニブタにおける鎮静作用
8)社内資料:ミニブタにおける鎮静作用(長期投与)
9)社内資料:サルの心血管系に及ぼす影響
10)社内資料:サルの呼吸器系に及ぼす影響
11)社内資料:サル単回投与毒性(6時間持続投与)
12)社内資料:サル単回投与毒性(24時間持続投与)
13)社内資料:サル4週間反復投与毒性(急速静注)
14)社内資料:サル2週間反復投与毒性(9時間持続投与)
15)社内資料:サルにおける局所刺激性試験
16)社内資料:ラットにおける健忘作用
17)社内資料:国内第Ⅰ相臨床試験(ONO-2745-01試験、承認時評価資料)
18)社内資料:国内第Ⅰ相臨床試験(ONO-2745-02試験、承認時評価資料)